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学習コラム

日本史・世界史の「論述力」強化法

カテゴリ:教科別学習法
チェック重要
難関国立大の合否を分ける地歴「論述力」
 一橋学院在籍のプロフェッショナルチューターが執筆する学習コラムです。

 文系で難関国立大を受験するとき、社会がある場合は、その出来が合否を分けることがしばしばあります。
 この前提としては、「1次試験」たる共通テストで満遍なくある程度以上の得点を取っていること、「2次試験」たる個別試験で、まず英語でベース点を確保していることが挙げられます。いわゆる旧帝大の場合、2次試験が英数国型になることも多いのですが、このように数学が課される場合であれば、文系において差がつきやすい数学のコンディションが(英語に並んで)重要になります。
 2次試験で社会が課されるのは、「教育系大学等で2次試験が1教科のみとなり、そこで社会が課されるケース」のほか、「語学系等の難関大学で、英語に加えて選択型の1教科が加わる等で社会が登場するケース」(東京外国語大筑波大等)、さらに最難関国立大学で「英数国に加えて社会が課されるケース」(東京大京都大一橋大等)が主に考えられます。
 第一のケースだと得点比重的に当然2次の社会、特に日本史・世界史の対策が重要になります。第二のケースの場合、2次試験の英語の水準がまず大事になり、その大学にふさわしい学力かどうかの判断基準となってきますが、それだけに合格を争うような受験生間では差がつきにくいので、日本史・世界史での得点が最終的に大切になってきます。
 そして第三のケースでは、英数国がある程度できる受験生が集いますので、社会は「最後に差がつく」要素として、特に重要になります。文系では社会が苦手という人は少なく、まずは数学ができるかどうかが、事実上、私大志望でなく国立を志望するための条件になるのですが、上記の第三のケースで合格ライン付近まで来ると、共通テスト・2次試験ともある程度数学はできるようになっていますので、かえって手薄になりがちな日本史・世界史の出来が合格に関係してくるのです。
 今日はそのように重要な2次試験の日本史・世界史の対策で鍵となる、「論述力」について取り上げます。



目次
■ 難関国立大の合否を分ける地歴「論述力」
■ なぜ日本史・世界史の論述力はつきにくいのか(1)対策期間の短さ
■ なぜ日本史・世界史の論述力はつきにくいのか(2)論述力は「総合力」
■ 効果的な練習法(1)真似をすること、そして用語の説明を書くこと
■ 効果的な練習法(2)日頃の学習から入試につなげる
■ 効果的な練習法(3)減点要素は「事実の誤認」と「論理の不整合」
■ 添削の反復こそが近道 ~間違えたときにしか上達しない~
なぜ日本史・世界史の論述力はつきにくいのか(1)対策期間の短さ
 難関国立大受験生は、「科目数の多さ」と「要求される到達水準」から逆算して、早めに本格的な受験勉強態勢に入ることが多くあります。社会が最後の最後に差がつきやすいなら、どうして長めの対策期間を取らないのでしょうか。それには日本史や世界史に特有の事情があります。

●英語や数学をどうしても先行させねばならない

 一般的に言えば、英語や数学に比べて社会は「追い込みがききやすい」面があります。日本史や世界史は、学んだ単元だけでも得点を向上させ、かつ安定させること可能ですが、英語や数学は一通り学んでからやっと得点の上昇が始まる傾向にあります。そうなると2周・3周するのが当たり前になるので、どうしても日本史や世界史よりも先行することになります。このため、逆に日本史・世界史は、重要度がかりに分かっていたとしてもどうしても後手に回りやすくなります。受験生に与えられた日々の学習時間は有限であるため、現実的にはこのようになってしまうことがよくあります。

●高校での進度上、3年生の後半まで日本史・世界史が残る

 高校での日本史・世界史、あるいは受験での日本史・世界史は、量が膨大なうえ、事象ごとの因果関係も大事になるので、通史の解説を聞きながら学習をしていく方が効率がよくなります。しかし、多くの高校で、公民や地理との関係もあり、日本史・世界史で通史が終了するのは3年生の後半になります。1年生で学んでいてもその後1年空くこともよくあり、3年生になる段階で半分程度残っていることもよくあります。この点でも日本史・世界史の学習は後発になってしまいがちなのです。

●論述力を強化するのは学習の最終段階

 日本史や世界史で論述練習に入るためには、前提として、必要な「知識のインプット」を済ませておくことが基本的に必要です。たしかに、やがて「論述練習をつうじて知識をインプットする」という段階にも到達しますが、とはいえ、まずは一定の知識量が必要になります。そのためには、通史の整理を基本に、「歴史用語の吸収」や「私大型の問題演習」を経ることが有効かつ必須です。こうした「手順」を踏むと、論述練習そのものにあてられる時間はどうしても長くは取れない、ということになっていきます。
なぜ日本史・世界史の論述力はつきにくいのか(2)論述力は「総合力」
 論述力の強化が難しいのは、習熟するのに与えられた時間が短いという事情だけでなく、質的な側面も関わってきます。
 「歴史に関するアカデミックな雰囲気の文章」を書くことは容易ではありません。どんなに歴史用語などの知識が豊富にインプットされていたとしても、それは論述答案を書くための「必要条件」であって「十分条件」ではありません。歴史的事実を押さえながら、経過を時間軸に沿って順序だって文章でアウトプットを行うにはかなりの訓練が必要です。まして、理由を書くのか背景を書くのか、直接的な結果を書くのかもう少し広範な影響を書くのか、等々を意識しながら、設問の要求に「的確に」答えて論述することは本当に難しい作業です。
 高偏差値帯の受験生なら、数学の答案は、模範解答にかなり近い答案に仕上げることができるかもしれません。しかし、日本史・世界史の場合は、現実問題として、模範解答とはかなりの乖離が見られるのが普通です。まして、(1)その科目のプロが、(2)時間無制限で、(3)正確を期して資料を参照しながら書いた、赤本等の模範解答に近い形に「現場」で答案を整えるのは至難の業です。
 普通に考えても、日本史・世界史の論述答案の作成には、「知識」と「論述力」という、異なる2つの要素が結びつく必要があります。ある段階からそれは相互に影響し、同時に鍛えていけるようになりますが、初動である程度の知識のインプットが必要だったように、論述力の方も、「文章を書く力」そのもののベースが必要になります。その意味で日本史・世界史の論述形式での答案作成は、学力全般の「総合力」が問われることになりますが、高校3年生の時点で、知識と「文章力」がともに一定以上のレベルに達していることはなかなかに困難なことになります。
効果的な練習法(1)真似をすること、そして用語の説明を書くこと
 英作文の学習の際に、例文などを真似ながら、表現を「借りて」書くことから始めることが多いと思います。日本史・世界史でも、教科書や用語集の文章をつなげて、それを縮めるように書くことを初動の学習の基本に置きましょう。
 そのうえで、いきなり問題を解かず、まずは用語集で「掲載されている教科書の数が多い用語」(出現頻度が多い用語)について、「原因・経過・結果」等をまとめる練習をするところから始めてみましょう。
 このとき、だいたい100語程度を目安に書くようにすると、国立大での入試を考えても実践的です。先述のとおり、国立大で日本史・世界史が課されるケースを3つに大別すると、ケース1やケース2は、ほとんどがこのパターンの出題になります。ケース3の最難関大学でも100語程度で事象を説明することが基本になります。このようにして主要な用語を書く練習をしていき、歴史に関する文章を書くことの基本を押さえましょう。
効果的な練習法(2)日頃の学習から入試につなげる
 ある段階から市販の論述用問題集に入って練習をしていき、やがて過去問演習に入るとよいのですが、日常の学習でも論述力を強化することができます。
 例えば、授業のノートを活用してみましょう。通常、項目が変わればノートの別ページに移る人が多いと思いますので、ノートの見開きにはまとまった一つの項目についての板書内容等が「語句」と「記号」(傍点や矢印など)で転記されているはずです。これをノート右下の余白に例えば5行程度で、その見開きページに書いてあるとおりに「文章化」してみるのです。語句をつなぐ傍点や矢印といった記号を言語化するイメージです。このようにすれば、語句のインプットとしても効率的ですし、理解したてのことなので、文章化へのハードルも低くトライすることができます。これなら低学年のうちからでも受験勉強に効果的につなげていけるでしょう。
 結局、最難関大の入試問題は、先の「100語練習」の「選択」の難しさ、あるいは「組み合わせ」の難しさになりますので、このトレーニングで「長く」書くようにしていくと、過去問にも取り組みやすくなっていきます。
 ただし、「つなげ方」には注意が必要です。「解釈の余地」が大きくなる「文学的な書き方」、「主観的な書き方」は避けましょう。あくまで「事実ベース」を心掛けることが大切です。
効果的な練習法(3)減点要素は「事実の誤認」と「論理の不整合」
 知識の「正確な」理解こそが難関大突破の近道になります。「細かい知識」よりも「正確な知識」が物を言います。用語集で言えば、「教科書掲載頻度6以上」あたりを目安にしていくといいでしょう。
 客観的な表現を心掛け、「正確な」答案を書くようにしていれば、大きな減点は防げます。そもそも学術論文に代表される「アカデミックな文章」におけるマイナス評価の2大ポイントは、「事実の誤認」と「論理の不整合」です。この2点がないように意識して書くようにしていくと自ずと文章精度が高まります。
 「事実の誤認」という面では、簡単なところで言えば、まずは誤字・脱字から注意しましょう。特に歴史用語の書き間違いは大きな減点対象になりえます。「書くべきポイントが含まれているか」という加点的な採点であっても、歴史用語が間違っているとその分のポイントがもらえないことを覚悟しないといけなくなります。年号などにも注意したいところです。経過説明で「前後関係」を取り違えるようなミスもなくしましょう。
 語句そのものなどがあっていても、その「説明」や、「語句のつなげ方」が間違っていてもいけません。「本当にそう言えるのか」自問自答し、丁寧に確かめながら書くようにしましょう。特に練習段階では、教科書や用語集のような「典拠」をきちんと確保することが大切です。前述のとおり、こうした「裏付け」なく、「主観的な評価」や「自分なりの解釈」を盛り込むことは避けましょう。
 そして、「論理の不整合」という意味では、事象同士の因果関係が重要です。単なる経過説明を超えて、事象Aがあった「から」事象Bが起こった、という、原因と結果を意識して書くことが大切です。事象Aの記述と事象Bの記述自体が正しくても、両者の結び付け方が間違っていると大きく失点することになります。
 その意味でも、「題意をとらえる」ことがきわめて大切です。背景や理由を聞かれているのか、経過の記述を求められているのか、結果や影響を書くのか──こうした点での受け答えを適切に行わないと「答案」としての価値は大きく減じます。「知っているから」と言って求められていないことを書いてはいけません。求められていること以外のことを書くと、いたずらに字数と解答時間を浪費することにもなりますので、細心の注意を払って内容を検討しましょう。
 逆に、難関大の問題では、題意をしっかり考えることで、その設問で期待されている記述内容が何なのかのヒントを得られることがあります。特に、冒頭述べた3パターンにおける、第三の最難関大のケースでは、「題意をとらえた因果関係」という視点は必要不可欠です。何を問われているかの確定が難しい設問がしばしばあるだけに、「設問をつうじて考える」という姿勢が大切になります。
 他の科目にない、日本史・世界史ならではの要素として、「記述自体は正しくても、時代・時期が異なることを書いてしまう」ということがあります(選択式問題でもよく誤答選択肢で存在するものです)。これも「因果関係」を意識すれば防げるミスですので、事象同士のつながりを考えて論じるようにしていきましょう。
添削の反復こそが近道 ~間違えたときにしか上達しない~
難関国立大文系入試(東大・京大・一橋大・筑波大・東京外大等)で最後に合否を分けるのは2次試験の社会。多くの受験生が原理的にどうしても手薄になりがちな日本史・世界史の論述対策を適切に行うことで、有意な差をつけられる。日常学習から因果関係を意識したトレーニングを積むのが大切だが、「論述答案」について定期的に添削指導を受けることが合格につながる。【一橋学院│東京・新宿区高田馬場の大学受験塾】
「教わっている先生」に添削してもらうことで効果的・効率的な学びにつながる。
 紙面上にない言葉を自分で思い出して正確に書く必要がある「記述式」の設問は、それだけで受験生にとって重い負担になります。「論述式」ではさらにそれを「文章」で書かねばならないのですから、本当に大変です。どんなにその科目が得意でも、最初からスラスラ書けることはきわめて稀と言えるでしょう。現に、私大型の勉強をしていて「細部の知識」が豊富にあり、模試での偏差値が高い人でも、論述答案になるとまったく書けないことの方が普通です。
 論述練習の難しいところは、「間違えたときにしか上達しない」ことにあります。どの人も最初からはスラスラ書けないので、「つまづきながら」練習していくことになりますが、自分に不足する要素を真摯に見つめて、意識的に修正することでしか、その問題を解けるようにはなっていきません。まして「論述力」というような「学力」の形で自分の中に定着させていくには、その行為を継続していくほかはなく、受験生にとってはメンタル的にも厳しいものがあります。
 しかし、それだけ差がつきやすい要素にもなりえますので、苦しくともきちんと「訓練」を続ければ、ちゃんと形になってきます。やみくもに進めても力がつきにくく、学習意欲も減退しがちになりますので、専門の指導者につき、継続的に適切な添削指導を受けることが大切です。そこでの指摘を踏まえて「意識的な修正」を反復すれば、すべての出題パターンを網羅しなくても(そもそもそのようなことは有限な時間しかない受験生には不可能です)、ある程度の問題数での練習を遂行した段階で、「受験生に求められる論述答案の書き方」の「勘所」はある程度身につきます。そうなれば、あとは「知識」を身につけることで、練習していなかった箇所が問われても合格点を確保するような論述答案を書けるようになっていきます。
 一橋学院では、少人数主義に基づいた「正確な理解を深める授業」に加え、「講師自ら」(添削用のスタッフなどでなく)が生徒一人にたいし、個々の状況やニーズに即した(したがって特定の問題しか添削しないといった他予備校でよくみられるあり方でなく、過去問の自由提出も可能になります)きめ細かい添削指導を実施しています。論述練習にお困りの場合には、ぜひ一橋学院の門を叩いてみてください。
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