本文へ移動


いちばん行きたい大学へ。
一人ひとりの可能性は無限大
一人ひとりの能力を最大限伸ばす少人数教育

学習コラム

「滑り止めはどこにする?」 安全校選びのチェックポイント

カテゴリ:志望校対策
オススメ重要
見極めが難しい「安全校」──いったいどこなら「滑り止め」になるか?
 一橋学院在籍のプロフェッショナルチューターが執筆する学習コラムです。

 第一志望合格に向けてしっかり対策を講じながら学習を進めていき、「いよいよ出願」という段になってはたと困るのが「併願校」です。「挑戦校」「実力相応校」水準は比較的決まりやすいのですが、併願先のラインナップを考えるうえで意外に手間取るのが「安全校」です。
 そもそも中学入試や高校入試と比べて、大学入試は「選択肢」が多くあるのが特徴です。通学圏が格段に広くなり(それこそ「全国」まで視野に入ります)、学部や入試方式、あるいは入試日程も多岐にわたるため、「出願できる可能性があるところ」が中高入試に比べて飛躍的に増えます。実際、出願校数も多くなり、中高入試のような「3校程度」といった規模でなく、6、7校程度になることは珍しくありません。状況によっては10校以上になることもしばしばあります。
 入試が細分化され、しかも推薦入試が盛んになった結果、「全入時代」と言われてはいても、首都圏の有力大学を中心に、一般選抜はどこも激戦が続いています。「豊富な選択肢」のなかで、いったいどこが学力水準的に適切な安全校なのか、受験生が冷静に見極めるのは容易なことではありません。
 入試期にどこを安全校として受験するかは、学習コンディションの面でも、メンタル的な面でも、他の大学の受験にも影響していく要素です。ある段階で合格校を得られると精神的にも余裕が出る反面、「押さえ」のつもりで受けたのに連続して合格が来ないと、志望上位校の受験でプレッシャーが増すことになります。安全校の設定は受験全体の成否を左右しかねない重大事なのです。
 ここでは、私立大学の一般選抜を念頭に、安全校を考えるうえで注意すべきポイントを挙げていきたいと思います。

目次
■ 見極めが難しい「安全校」──いったいどこなら「滑り止め」になるか?
■ 理想としてはオープンキャンパスに、しかし現実には…
■ 視野を広げ、そして「こだわり」のポイントを決めていく
■ 「安全校」のチェックポイント(1)判定
■ 「安全校」のチェックポイント(2)合格最低点
■ 「安全校」のチェックポイント(3)共通テスト利用
■ 「安全校」のチェックポイント(4)負担感
■ 安全校の受験は第一志望校合格へのステップ


理想としてはオープンキャンパスに、しかし現実には…
 受験校の選定においては、低学年のうちからできるだけオープンキャンパスなどに参加し、カリキュラムや校風等、併願先についても実際に「生の情報」を得ることができると理想的です。4年間を過ごし、その後も「最終学歴」になる可能性がある場所ですから、できるだけ「納得感」のある出願をしたいものです。最初から「併願先」として見に行くのではなく、自分が通いたい複数の大学に足を運びながら、徐々にその中で志望校のラインナップができてくる、となれば言うことはありません。
 しかし現実には、部活などもありますし、高校生活には何かと時間的制約が生じます。年に複数回オープンキャンパスがある大学も多いですが、それでもそれほどタイミングよく分散するわけでもありませんので、たくさんの大学のオープンキャンパスに行くとは言っても、おのずと限界も生じてきます。
 特に3年生になってからだと、秋に集中的に模擬試験を受けることになりますので、そのなかで浮上してくる大学には、文化祭なども含めて足を運ぶことは時期的に難しいでしょう。そうなると、ある程度絞り込んで探していき、ホームページや大学案内(パンフレット)等で確かめる、というのが一般的な手順になります。
 絞り込み方としては、おおまかなエリアを決め、そのなかで、「大学一覧」のようなものを使ってあたりをつけて探していく、というやり方が効率的です。志望大学を決める際には、カリキュラムや卒業後の進路、大学生活のあり方やその大学の特色、等々、なるべく多角的に検討することが大切ですが、第一志望やそれに準ずる大学の場合はともかく、特に安全校については、どうしても学力面の要素が大事になります。その意味では、いわゆる偏差値表なども有効なツールとなっていきます。受験学年の秋ともなれば学習時間の確保が至上命題になりますので、これである程度あたりをつけて、学力面以外の要素を加味して決定していく、という流れが現実的に自然な流れでしょう。
視野を広げ、そして「こだわり」のポイントを決めていく
 まずは志望の学部系統を軸に併願先を探してみましょう。そのうえで、さらに隣接する学問領域もチェックするようにしましょう。あまり最初から広げすぎると収拾がつきにくくなることが多いので、まずは学部にこだわり、そこを軸にして広げる、という手順がお勧めです。
 学問領域を広げて考えるといいのは、受験生は「まだ大学で学んでいない」ので、実は志望学部の学問内容が「よくわかっていない」こともあるからです。学問内容の把握が限定的になるのはたしかに仕方のないことではあるので(そういう意味でもできれば低学年のうちにオープンキャンパスの模擬講義などで「大学での学び」に触れておけるとベターです)、「それを軸にしつついったん視野を広げてみる」ことが大切です。
 例えば、経済学志望であっても、行動経済学などにも関心があれば心理学的な面などから、国際経営に関心があれば語学的な面などから、案外文学部にも接近する、というようなこともありえます。文系、理系を問わず、こうしたことは珍しいことではありません。「経済学もいいけれど、法学にも実は関心がある」といったことも受験生的にはむしろ自然なことでしょう。
 「A大学<B大学<C大学」という順で大学に魅力を感じている場合、「自分の志望する経済学部ならA大学だけれど、他の学部であってもB大学なら、それも考えてみようかな」というような選択は、現実にはありえる話です。
 同様に、「自分はC大学経済学部が第一志望だけれど、経済学部でB大学に行くなら、他学部であってもC大学に行きたい」というケースもあるかもしれません。建学の精神や校風、大学全体の特色等に魅力を感じている場合、「<学部>よりも<大学>にこだわる」といったこともありえるでしょう。近年は、「全学部入試」が学部別の個別入試と並行して存在する大学があることはもちろん、「統一入試のみを複数回置く形の『試験日自由選択制』をとる大学」も増えてきました。このような場合では、一つの大学にこだわって複数の学部を受験する、というのも、「対策の負担」を考慮すると合理的な選択の一つになります。
 学部以外に、キャンパス位置(エリア)や受験方式(共通テスト利用や英語外部検定試験利用、傾斜配点、等々)などについても、まずは視野を広げて考えてみることをお勧めします。このようにいったん視野を広げて考えることで、かえって「自分が何を大事にしたいのか」がはっきり自覚できるようになります。その意味でも選択肢の幅を広げることは受験校選定において重要なプロセスになります。
「安全校」のチェックポイント(1)判定
 受験は何が起こるかわかりません。むしろ受験会場では「何かが起こる」ことの方が実は多く、その程度が許容範囲内かどうか、がポイントとなります。「何かが起こる」前提で、「ある程度のことなら起きても大丈夫」というところが「安全校」です。例えば「ベストコンディションでなくても、入試会場に行けるぐらいの体調なら(他の受験生のためにも無理をしないのがマナーであり、ルールです)受かる」というぐらいに余裕があるところが安全校になります。
 目安としては、「秋の全国模試」で、「A判定(ないしB判定)」が「複数回」出ているところ、になります。厳しく見ると「1回」ぐらいなら「たまたま」という可能性がなくはありませんので(特にマーク模試)、条件としては「複数回」です。
 しかも「その判定でない」回でも「不安になるほどではない判定」であることが必要です。極端な話ですが、「Aが2回出たが、Eの下位も2回出た」というのだと、「ブレ幅」が心配です。「下ブレ」のときの状態がもし本番で出たら、合格はかなり苦しくなります。
 判定は統計的な予測にすぎませんので、「当日の出来」は、いずれにせよ「受けてみないとわからない」面があります。安全校を2つないしそれ以上設定しておくことが大切です。
「安全校」のチェックポイント(2)合格最低点
 「判定」だけだと、納得のいく大学が揃いにくいことがあります。仮にそれが揃ったとしても、A判定はたいてい「80%以上の合格可能性」であって、100%の合格を保証するものではけっしてありません。いずれの場合でも補完要素として参考になるのが、「合格最低点」です。
 大学によってはこの値を公表していることがありますので、本番に近いコンディションで解いてみて、安定してこれを上回るようであれば安心材料が増えることになります。
 ただしこれも模試判定と同じく、1回超したぐらいでは不十分です。「1回目」だと形式慣れしておらずにうまくいかないこともありますので、複数回やって、安定してくるかを確かめましょう。
 また、過去問は「実際の試験」でのパフォーマンスを見やすい面があるのは確かですが(大半の模試が「その大学のための」模試ではないので、大学によっては模試の問題と入試問題との雰囲気が違っていて、受験生の分布が異なるものになるときがある)、それでも「複数大学の出願によるリスク分散」は大切です。当日のコンディションは受けてみないとわからないからです。
 値そのものの性質にも注意が必要です。「最低点」はあくまで「最低点」ですので、余裕をもって超える、という観点では、「合格者平均点」を狙うぐらいでちょうどよいはずです(ただしこの値はたいてい公表されません)。また、「最低点」はあくまでそのときの「最低点」ですので、当日の受験者にも左右される値ですし、「人気が上昇中の大学」なら、「数年前の値」より今度はちょっと高くなることを覚悟せねばなりません。そもそも一番の問題は、配点や採点基準が公表されていない以上、点数と言ってもそれはそもそも参考値にすぎない、ということです。これらのことを考えると、どのように採点しても(厳しめに採点したとしても)「余裕をもって超す」ことが大事になります。
「安全校」のチェックポイント(3)共通テスト利用
 「点数」がある程度わかりやすい、という意味では、「共通テスト利用」も一つのやり方です。マークミス等がない前提なら、自己採点で点数自体がつかめるからです。
 各大学の過年度データから、ある程度の予測値がわかりますので、数値的に余裕をもって超えるようであれば出願を前向きに 検討してみるといいかもしれません。
 ただしこれも予測値で、受験する年の合格ラインは平均点等にも左右されますし、そもそも「大学の判断」でふいに引き上げられることもあります(このへんは推薦や一般選抜を含めた全体の出願者数や、定員よりもどのくらい多く合格者を出すかなどの、各大学の「その年の事情」に左右されると思われますが、正確にはわからない要素です)。これも「安定して」「余裕をもって数字をクリアーし」「しかも複数大学出願する」といった慎重さが必要です。
 変動要素という意味では、共通テストにかぎらず、下記のようなことがあると「ライン」が動きやすくなるので注意が必要です。特に共通テスト利用の「予測値」は、あくまで「過年度データをもとにした予測値」なので、影響が出やすくなります。こうした数値予測は「判定」よりも細かいのでついつい「絶対のもの」と考えがちですが、あくまで「目安」として捉え、余裕をもって超すよう準備しましょう。
   ・定員の増減
   ・キャンパス位置の変更(新設含む)
   ・学費ないし受験料の変更(「併願割引」の導入など)
   ・入試使用科目の増減
   ・入試日程の変更(手続き日を含む)
 最後の「入試日程」について付言すると、共通テスト利用は、一般選抜のピークと日程的に少しずれるので、「リサーチの結果等も踏まえながら一般選抜に追加出願する」など、大学によっては「立て直し」がはかれるのもメリットになります(「大学によっては」間に合いません)。その分、入学手続き日も早めの傾向があるので、受験日程全体への目配りも必要です。この手続き日等に変更があると、合格ラインは動きやすくなります。
 使い勝手がいい面もある「共通テスト利用」ですが、共通テストそのものがセンター試験のときよりも「独自色」が増したので、対策が必要になりました。準備に時間が取られすぎるようなら、「無理に追いかけない」ぐらいのスタンスも十分ありえます。このように「万能薬」ではない点も踏まえながら、使える範囲では最大限有効に活用したいところです。
「安全校」のチェックポイント(4)負担感
 安全校はたしかに重要ですが、「挑戦校」の受験ではありませんので、志望上位校の入試への負担とならないようにしたいところです。
 まず、「日程感」として問題ないか確認しましょう。受験校数全体が増えますので、全体として多すぎないかの確認はもちろん、「連続受験」の状況も見定めましょう(「2日連続」は仕方ありませんが、「3日連続」はできるかぎり避けましょう)。
 ただし、日程が分散できるからといって、2月中旬以降の2回目の日程(いわゆる「B日程」等)や「3月入試」には注意が必要です(例えば早慶などのように、2月中旬以降であっても「1回目の日程」となるところでなく)。こうした入試は、合格者がかなり絞り込まれる傾向にありますので、選択肢として入れる分にはかまいませんが、安全校として設定することはお勧めできません。
 安全校の受験は、入試日程的には、本命試験の前の「練習になる」ぐらいで考える方がよく(ただし大学入試では、「練習のための受験」を入れるのは必ずしも多数派ではありません)、難易度で言うと「徐々に難しくなる」ように組むのが望ましいあり方です。
 いずれにしても、過去問を解く回数には限界が生じますので、以下のような対策準備の軽減策も検討するといいかもしれません。
   ・共通テスト、全学部入試などでなるべく「一度に」済ませる
    (ただし複数日にわけることがリスク分散につながるメリットについても理解する)
   ・「連続日程」の大学の試験を同大学で複数回受けて、過去問研究の負担を少なくする
   ・英語外部検定試験利用で、英語試験を受けなくても済むようにする
   ・漢文や小論文の有無、理科単元等の出題単元の偏りを確認し、志望校上位校と揃える

安全校の受験は第一志望校合格へのステップ
「安全校」の設定はプレッシャーを軽減し「いちばん行き大学へ。」と導く重要なプロセス。判定や合格最低点を駆使して効果的に「滑り止め」を決めていく併願戦略について解説【一橋学院│東京・新宿区高田馬場の大学受験塾】
プレッシャーを軽減する適切な「安全校」の設定は「いちばん行きたい大学へ」の一歩
 「滑り止め」と言うと少し後ろ向きな響きもありますが、むしろそれは、「第一志望校合格へのステップ」として重要なものです。安全校を適切に用意し、きちんと合格を得ていくことで、プレッシャーを軽減し、志望上位校の入試で力を発揮しやすい状況を整えることができます。
 「いちばん行きたい大学へ。」を掲げる一橋学院では、その意味でも、一人ひとりに合った受験校選びを大切にしています。チューターがデータをもとに各自の状況に合わせた受験情報を提供し、最適な受験校選びをサポートしています。それこそがそれぞれの「いちばん行きたい大学へ」の進学につながっていくからです。
TOPへ戻る