学習コラム
天王山を攻略せよ!夏を制する計画の立て方!
カテゴリ:学習法全般
注目耳ヨリ
なぜ計画を立てるべきなのか
一橋学院在籍のプロフェッショナルチューターが執筆する学習コラムです。
受験の天王山(要所)である夏休みを迎え、一気に学習時間が確保できるようになった現役生。それに負けじと奮闘する高卒生。勉強時間という点で、夏は全受験生が同じ土俵に上がって取り組みます。その成果を最大限に出すためには学習の効率化が望ましく、効率のいい学習を行うためには学習計画が必要になります。
今回は効率のいい勉強に近づくための“学習計画”についてのお話です。
目次
■効率のいい勉強とは
■学習計画を立てるメリット3選
■計画の立て方
■まとめ
効率のいい勉強とは
まずは「効率」という言葉について正確に理解したいと思います。wikipediaによると
効率(こうりつ、英: Efficiency)とは、入力(エネルギー)に対する、有効な出力(仕事)との比率のことである。
多くは「出力÷入力」の結果のパーセント表示で表される。
とあります。受験勉強で言う「入力」とは、学習にそそぐ時間や労力を表すでしょう。これが少なければ少ないほど、分母の値が小さくなり、効率がいいと言えます。
「有効な出力」とはその成果です。大きければ大きいほど分子が大きくなり効率がいいと言えます。ここで大切なことは「“有効な”出力」であることです。暗記で言うと、付け焼刃の短期記憶では有効な出力とは言えない、つまり分子が小さくなり、効率が悪い状態になってしまうのです。
受験において効率のいい学習とうのは、必ずしも時間や労力がかからない方法とは限りません。しっかりと成果が出る「有効な出力」であることが大切です。学習計画とはそれを達成するために、学習量や方法をまとめたものと考えてみてください。
効率についてはコチラの記事でも別角度で言及しています。
学習計画を立てるメリット3選
学習計画を立てるメリットは数多くありますが、
1.やるべきことが可視化される
勉強において困ってしまうのは「何をしたらいいか分からない」という状況です。例えば朝起きた時のことを思い出してください。学校がある日は「学校に行く」という明確なやるべきことがあります。なので眠くても起きて行動しますよね。
一方何も予定がない休日を思い浮かべてください。起きる目的がないとそもそも起きる時間が遅くなり、午前中はだらーっと過ごしたなんて経験はないでしょうか。朝起きてから何をしようか考えてすぐに行動できるという人はごく少数なのではないかと思います。
つまり、「何をすべきか分かっている状態」を作ることができる学習計画は有効なのです。
2.効率的に学習できる
受験勉強は常に優先順位との闘いです。科目によってはあまり時間をかけられないものもあるでしょう。行き当たりばったりで勉強すると、勉強どうしの関連が希薄になり学習効果が上がりにくいです。逆に数日単位の学習計画を立てると勉強どうしの関連を持たせることができます。
例えば今日、数学の苦手単元を教科書を使って復習したとします。すると明日はその単元の章末問題や同レベルの問題集に取り組んで練習した方が効果が高いと考えられる。といったことです。
このように学習計画を数日単位で決めることで、勉強どうしの関連が生まれ、限られた時間でも効果を上げる、つまり効率的に勉強をすることができます。
3.その日の学習に「終わり」が設定できる
これは私が考える学習計画の最も大きい恩恵です。勉強というのはやればやるほど終わりのないものだと気づきます。学習計画はそんな青天井な勉強に「終わり」をつけてくれるものと言うことができます。この計画が終わりさえすれば今日は寝てもいいというメリハリをつけることができ、引いては受験本番までの期間をしっかり走り切る指針になってくれます。今すぐ学習計画を立て、効率の悪い不規則な受験生活から脱出しましょう。
計画の立て方
学習計画の立て方にはいくつかの注意点があります。その中でも主に以下2つについては特に注意してください。
・必要な分量であるか
・継続できるものか
これらに注意しながら以下の手順で学習計画を立ててみましょう。
手順1:必要な勉強の分量を把握する
まずは分量の把握です。勉強時間が10時間あるとして、以下のような分量を参考にしてみてください。
・国立文系
英:数:国:地歴公:理=3:3:1.5:2:0.5
・私立文系
英:数/地歴公:国=5:3:2
・国立理系
英:数:国:理:地歴公:=3:3:0.5:3:0.5
・私立理系(理科1科目)
英:数:理=4:4:2
・私立理系(理科2科目)
英:数:理=3:4:3
これを基本形とし、苦手によって調整します。
手順2:1週間単位で学習時間を計算する
自分が1週間で確保できる勉強時間の総量を計算します。この時、学校や塾、予備校で受講する授業の時間も含めてください。
次に手順1で決めた学習割合に合わせて科目ごとにかけるべき時間を算出します。学校や塾、予備校の授業時間も含めて計算してください。
手順3:すでに決まっている予定を表に書き込む
手順1、2をもとに予定表に書き込んでいきましょう。その際、まずはすでに「決まっている予定」を書き込みます。例えば学校や予備校、塾の授業、模試、学校行事、オープンキャンパスなどです。学校や予備校、塾の授業や模試は勉強時間としてカウントし、手順2で決めた各科目の勉強時間からマイナスしてきます。
手順4:付随する予定を表に書き込む
手順3で書き込んだ予定に付随する予定を書き込んでいきます。例えば「学校や予備校、塾の授業」に付随する予定は「予習」「復習」ですし、オープンキャンパスでは大幅な「移動時間」を伴う可能性があります。「模試」の「復習」も忘れずに付随しておきましょう。
手順5:ルーティンを決めて表に書き込む
朝や寝る前に「毎日欠かさず行う勉強=ルーティン」を決めて表に書き込みます。例えば「英単語」「簡単な計算練習」など、知識や感覚として忘れてはならないものをルーティンにするとよいです。
ルーティンには“いつも通りでいる”という効果もあります。これは受験本番で役立ちます。
手順6:空いている時間を埋める
計画表上、ここまででまだ空いているところを埋めていきます。この埋め方は個人によって異なります。おすすめの方法は、まず自身の得意不得意やいま抱えている課題によって学習項目と使用する教材を決めることです。例えば英語の基礎がまだという方は「英文法:学校のプリント」、日本史をやり直すという方は「日本史:教科書」、物理を復習したい方は「物理:公式集プリント」といったようにです。
学習項目が決まったら、空いている時間に適切な時間で組み込んでいきましょう。
手順7:3週間ほどかけて検証する
完成まであと少し、これが最後の手順です。手順1~6で完成した学習計画はまだ「予定」の段階です。これを1週間かけて実行し、上記の通り
・必要な分量であるか
・継続できるものか
を軸に検証してください。
無理があれば調整し、もう1週間実行します。それをもう1週間やって計3週間ほどかけて完成させましょう。