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学習コラム

国公立大学「後期日程」出願大作戦!

カテゴリ:志望校対策
注目重要
「後期日程」という選択肢
 一橋学院在籍のプロフェッショナルチューターが執筆する学習コラムです。

 国公立大学を目指すうえで大事な選択肢の一つが「後期日程」です。中期日程等の例外日程もわずかに存在しますが、国公立大学は前期日程と後期日程に大別されますので、一般選抜で挑戦できる機会は基本的にこの2回になります。
 中心は募集人数の多い前期になるので、後期については「よく考えたことがない」という人も多いのではないかと思います。しかも、後期は年々縮小傾向なので前期しか募集のない大学・学部・学科も珍しくありません。
 しかし、だからこそこの後期という選択肢を有効に使うことで、他の受験生に差をつけることができます。今日は、「出願戦略」として後期日程をどう捉えたらいいか考えていきます。

目次
■ 「後期日程」という選択肢
■ 前期も後期も同じタイミングで出願する!
■ 後期は「難しい」──その意味は?
■ 結局、どう出願すればいいのか?
■ 「合格見込み校」の判断こそ生命線
■ もし本当に「受けに行く」ことになったら──「学習」と「気持ち」の対策
■ 「後期出願チェックリスト」
前期も後期も同じタイミングで出願する!
 国公立大への出願上、決定的に注意が必要なのは、前期も後期も同じ出願期間内での出願になる、ということです。2月の前期や私大の合否状況を見てから後期を追加で出願できるわけではないので、2月の入試展開を予測して出願しなければなりません。
 浪人生と違って、高校生(現役生)の場合、直前になるまでこの仕組みを知らないケースも散見されるので、注意が必要です。とにかく「後から出す」ことはできないので、後期は実際に受けるかわからなくても「出願しておく」ことが大切です。
 後期試験は、前期で合格し入学手続きをとるとそもそも合格できないため、前期の合格者は「受けに行く」ことはまずありません。同様に、後期試験の前に「納得できる私大」に受かっていて、後期の国公立大でなくそちらへ進学するつもりならば、後期試験の受験会場に足を運ぶことは通常はありません。したがって、後期は、事前に発行されている受験番号分の人数よりも実際に会場に行く受験生がある程度(ないし「かなり」)減るのが普通です。出願段階で「実際に受けるかはわからなくても出願する」というのは、こうした事情が関係しています。「実際には受けに行かない」ことが許容されており、むしろそうなる方が望ましいのですが(前期で合格するのがベストな展開)、もし前期に合格できず、2月の私大入試でも「納得できる私大」をキープできない場合、そうなってから出願することはできないので、あらかじめ出願だけは済ませておく必要があるのです。
後期は「難しい」──その意味は?
 実際に受験する人が少ないということは、見た目の倍率と実質倍率との乖離が大きい、ということを意味します。
 とはいえ、元々募集枠が少ないのが後期入試です。前期よりも1ランク、2ランクほど「難しい」というのが通常です。前期と同じ大学に出願できるとベストですが、実際は、前期の感覚で言うところの1ランク、2ランク下の大学に出願することも珍しくなく、そうであっても自分が受験する前期の大学並みの難易度、という雰囲気になることもよくあります。
 このため、2次試験でともにその大学を受ける受験生のレベルが高いので、「2次向けの学力」の仕上がりが求められます。後期試験では通常の学科試験でなく、総合問題や小論文、面接が課されることもよくありますが、いずれにしても高いレベルでの解答が求められます。
 後期試験の一番の「難しさ」は、そもそも「要求される共通テストの得点が高い」ことです。人数枠が少ないため、第一次段階選抜があれば、おのずとその得点ラインは高まります(この段階では、「やがて前期で合格する人」も含めて選抜が行われることに注意が必要で、彼らが抜けるのは「実際の2次試験会場」のため、第一次段階選抜の得点ラインがこの時点で低くなることはありません)。第一次段階選抜がなくても、後期はたいてい2次試験の配点より1次試験の配点が重視される傾向にあるので、「合格に実際に必要になる共通テストの得点率」が高くなる傾向にあります。そもそも共通テストで高得点を獲得しないといけない、というのが後期の「難しさ」の実質的な正体です。
結局、どう出願すればいいのか?
国公立大入試において「後期日程」は大事な選択肢。有効に活用するには、私大を含めた他の出願校とのバランスを考慮しながら、配点と共通テストで実際に取った得点を踏まえた戦略的出願が必要。受験生の盲点となりやすい後期日程について原理的に解説する。【一橋学院│東京・新宿区高田馬場の大学受験塾】
「後期日程」も国公立大受験においては貴重な選択肢の一つ。最大限有効に活用したい。
 理想となる出願は、上述のとおり、前期・後期とも同じ大学・学部に出願して「受験機会を増やす」ことになります。
 しかし、近年の後期枠縮小をふまえて、また国公立大人気をふまえて、ある程度柔軟に考えるケースもよく見られます。つまり、後期は「元々はないもの」(前期や「納得いく私大」に受かっていたら受けに行かないことも踏まえ)と考えてチャンスが一つ増えたというぐらいに捉え、志望順位の高いところに思いきってチャレンジングに出願するか、共通テスト分の配点が高く「逆転されにくい」ところに「保険」として出すか、いずれかの選択になってきます。なかには例外的に共通テストの使用科目数が少ない大学もありますので、そうしたところも選択肢として考慮することで、高得点科目・得意科目を生かしながら併願が組めることもあります。
 このような検討のさい、最終的にどこの後期に出願するかは、共通テスト利用私大(共通テストの前に出願しているところ)で「キープできたであろう」と考えられる大学と天秤にかけながら考えることもお勧めです。
 そもそも前期日程において、第一志望に「強気の出願」をするかどうかも同様に考えることができます。「特定の国公立大学」よりも「どうしても国公立大学」という志望の場合には、比較的おさえやすい国公立大学に出願することになりますが、そうした事情がない場合には、国公立大は前期で1校しか出せず、私大では複数併願(通常6、7校程度)が可能なことを考慮し、「押さえ」は私大の併願で組み、国立は「強気の出願」をするのが良い、と考えられるでしょう。
 そのさい、例えば、「横浜国立大と早慶ならどちらに行くか、MARCHならどうか」「千葉大と早慶ならどうか、MARCHならどうか」といった具合に、「国公立か私立か」といった一般論でなく、具体的な大学と大学を比較しながらイメージすることが有効です。これが「具体的に天秤にかける」ということです。
 後期においては、2月の一般選抜の合否状況が国公立も私立も確定的に把握できないなかで出願することになりますので、「事実上合格とみなせるところ」と比較して、そこよりも志望が高いところにだすことが有効です。この「事実上合格とみなせるところ」が「共通テスト利用入試でキープできそうな私大」になります。この大学と、後期の出願候補校を比べて、両方受かった場合に前者に進学することが確定的であれば、後者に出願するメリットは少なくなります。多少チャレンジングな出願になっても、「そこよりも志望が高いところ」に出願するという可能性も高くなってくるでしょう。いずれにせよ、特定の私大とくらべてちょうど迷うぐらいのレベルの国公立大が浮上するなら、その国公立大に出願し、「合格通知を手にしてから考える(迷う)」ようにする、というぐらいでちょうどいいかもしれません。
 いずれにせよ、国公立大の受験機会は貴重です。出願の「権利」は前期・後期とも極力「行使」するよう検討するといいでしょう。
「合格見込み校」の判断こそ生命線
 では、共通テスト利用の私大入試での「キープ校」は、「国公立大出願段階」でどのように見極めればいいでしょうか。国公立の出願タイミングで最終的に最も良い判断材料になるのは、いわゆる「共通テストリサーチ」です。
 やや一般論になりますが、共通テストリサーチの評価の見方について確認しましょう。
 
(A)共通テストの「あとに」出願する国公立大学や一部共通テスト利用私大について(併用型一般選抜含む)
 
 共通テスト後に出願する大学については、リサーチには必然的に限界点があります。タイミング的にリサーチに反映しきれない「出願動向の変動要素」として、主に下記の3点が考えられます。
  (a)共通テストの難易度(平均点予測含む)をふまえた「手応え」(自己採点) 
  (b)共通テストリサーチの評価
  (c)各大学が出願期間中に公表する「中間発表」
 リサーチは統計上かなり「参考」になるにはたしかですが、受験生の「態度決定」の場面がこのようにリサーチ後にいくつかあるので、リサーチはあくまで「参考」データにとどまります。
 
(B)共通テストの「前に」出願締め切りのある共通テスト利用私大について
 
 Aの場合と違って、共通テスト利用私大の「事前出願校」(共通テストの実施前に出願が締め切られるところ)は、受験生の出願動向がすでに確定しているので、「事後出願校」より情報の信頼性が高まります。こうした大学については、リサーチで合格可能性をいっそうしっかり見極めることが重要です。
 合格可能性のパーセント表示に関わらず、「ボーダー予測」を下回っていると合格はかなり厳しいのが「事前出願校」の特徴です。逆に、良好な判定等が複数社で出ている場合は(マークミスや自己採点のミスがないかぎり)合格の可能性はそれなりに高いと考えられます。
 ただし、その年のボーダーをどこに設定するかはあくまで各大学の判断なので、良好な判定であっても、もちろん「絶対の保証」ではありません。過年度追跡をもとに数値を出している「判定ライン」には本質的に曖昧さが伴いますので、リサーチの信頼性は盤石ではありません。あくまで参考値として、過信しすぎずに、一般選抜の出願も慎重に検討していくことが必要です。
もし本当に「受けに行く」ことになったら──「学習」と「気持ち」の対策
 後期まで受験することになった場合、最も大事なことは「気持ちを途切れさせない」ことです。1月に共通テストを受け、2月中もずっと入試が続くので、前期試験が終わるとさすがに多かれ少なかれ「息切れ」してきます。しかも日程上、前期の発表を待ちながら後期の対策をすることになるので、なかなか身が入らない、という受験生もどうしても多くなります。
 万一、私大が全滅であればさすがに危機感から「やるしかない」という状況になるかもしれませんが、もし私大で合格校が出ており、「大学生になること」自体は確実な状況であれば(順当に進めば確率としてはこの方が高いでしょう)、「大学生の準備をしている」と思って学習を続けることがお勧めです。
 というのも、後期では、先述のとおり、小論文や面接なども多く、前期試験までのような学科試験とは異なる試験となることがよくあるからです。本来は、後期出願を見越して、早期からこうした対策に取り組んだうえで、配点計算だけでなく、出題内容的にも自分に有利となる大学・学部・学科に出願したいところですが、多くの受験生の場合、現実的には対策が後手になっていることも多いでしょう。その場合、「目先の変わった」学習を、「大学ではよく必要になるものだ」という気持ちで行うことで、やや新鮮な気持ちで学習を継続することができるようになります。春からの大学生活の先取りをしているのだと考えると、「気が抜ける」のを防いでいけるかもしれません。
 逆に、もし学科試験であれば、「受験勉強の総決算」のつもりで取り組むといいでしょう。やることはこれまでと変わらないので、生活リズムに気をつけながら、学校や予備校の自習室、あるいは図書館などを活用して「だれない」よう過ごしていくことが大切です(感染症等にはくれぐれも注意しましょう)。
 いずれにせよ、もし「実際に」後期に受けに行くことになった場合、上記のように実質倍率は下がるので、「思いきって受ける」ことが大切になります。後期を受けに行くということは、前期で合格が来なかったということを意味し、日程上、その直後に後期を受けに行くことになりますが、「追い込まれている状況」なのは会場にいる周りの人も同じになります。合格に向けて最大限にチャンスを生かすべく、「強い気持ち」で受けるよう、「気持ちのコンディション」をできるかぎり整えて試験に臨みましょう。
「後期出願チェックリスト」
 最後に、後期出願を最終局面で考える際の(本当は早い時期から考えておくべきですが、共通テスト受験後に検討しなおす受験生も多いものと思われます)ポイントをリスト化しておきます。
 後期出願の選択は「リスクの受け止めかた」次第です。迷うことがある場合には、以下を参考に、出願予定校をチェックしてみてはどうでしょうか。

□ 第一志望の受験機会が1回増えたと考えて高リスクでもチャレンジしたいか、それとも第一志望にかぎらず「国公立大志向」が強いのか?
□ 「大学名」「国公立」「学部」のどれが最も「こだわりの強い」ポイントなのか?
□ 後期は特に、極力「保険」をかけたいのか?(前期よりも上昇する「ランク」を見極めつつ、「1次と2次の配点バランス」を考慮する)
□ 第1次段階選抜での不合格(=「2次に進めない」)はどの程度回避したいか?(「どの程度」かがポイント)
□ 共通テスト利用入試での私大の「合格見込み校」とのバランスは?(共通テスト実施後にわかる平均点の上昇・下降などによる事前予測ラインからの変動に注意)
□ 私大一般選抜での自信とリスクはどのくらいか?(国公立大出願時には私大は受験前で合否は「未確定」であることに注意)
□ エリアはどこまで広げられるか?
□ 受験科目は問題ないか?(共通テスト科目も変わる可能性があることに注意。科目が減ることで自分の獲得得点率が上がり、出願の幅が広がる可能性もある。また、2次に面接・小論文があっても、最後は基本的に「思いきって」出願する。)
□ 第一次段階選抜が実施されない場合でも「2次での逆転幅内」にいるか?(ビハインドがあった場合に2次配点のなかで取り戻せる範囲内になっているか)

 上記について、「数値」を見ながら「具体的に」検討することが大切です。受験生だけでは判断が難しいケースも多いと思われますので、継続的に進路指導を受けている方に助言してもらうといいでしょう(特に「リサーチ」の結果を踏まえて)。
 一橋学院では、少人数制の特色を生かし、一人ひとりの志望や学習状況をふまえながら、個々に出願指導とアドバイスを行っています。
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